グラス片手に入っていくと,黒のどん帳の向こうは,やはり薄暗い20畳くらいの スペースで壁も黒く塗られています。まるで洞穴のよう・・・。
突き当りにステージがあり,そこへ手前から何機かのスポットライトがプレイヤー に向けてあてられ,とてもインパクトがあります(まるで映画「レニーブルース」のような・・ 古いか?(^-^;)。

映画「レニーブルース」
けど,そこでの演奏にしびれました。
場末の民家改造スペースだからこその迫力!!(天井が 低く,狭いので目の前のトランペット,サックス, ベース,トラムの伝導が凄い!)
目の前2メートルでプロミュージシャンが奏でる生の音。その迫力と入る敷居の低さに客席はほぼ満員。
西成ジャズの色は少し変わっていて,他のジャズハウスと違う点は,客層です。いわゆる通のジャズファンがあまりいません。
そのへんのおっさん,おばちゃんが「ええぞーっ!」「お姉ちゃん,こっ ち向いてー!!」ってもうそれは歌謡ショウの乗りですが,
そのヤジ?合いの手?の騒々しさは、その熱さ故,ひょっとして本当はプレイヤーさんうれしいかも?
お客は元より盛り上がり,プレイヤーも一体となって演奏は終わりました。

そして,エンディングと共に,係の者がバケツを持って席を廻ります。
中には「チャリンッ」という音も、聞こえます。
お金持ちの500円とない人の500円は,同じ金額でも価値が違うこともあります。少ない小遣いを遣り繰りして,昼ご飯を一食抜いて来たのかも知れません。
バンドリーダーの松田さんも日々,おっしゃってます。
「なけりゃー,少しでええねん。ある時に入れてくれたら💛」
プレイヤーさんはギャラに直結するので,金額は多いに越したことはありませんが,これほどの熱気で包まれるセッションは,それほどないのではないでしょうか?私の目には観客を沸かせた満足感で皆さん良い笑顔です。
ここは大阪のニューオリンズ。演奏家も聴衆もマルハダカ。
これが,西成ジャズのキャッチコピーと知ったのは,ずいぶん後ですが,まさにその通り! お金以上とは言いませんが,それと同じくらい大事なものを手にしたような気がします。
ジャズ発祥の地ニューオリンズもこんなものだったかも知れませんね。
帰り道は足が軽く,何故か得した気分で満ち足りていました。
この日から,私の西成ジャズ通いが始まりました。
★現座の西成ジャズ
その後,「西成ジャズ」は難波屋の防音施設の不十分さから,近隣からの苦情が出て,難波屋を撤退することとなります。
2020年現在,西成ジャズは拠点を動物園前駅交差点に面した「ドナリー」で活動は続いていて,広さも内装もすっかりあか抜けてオシャレなバースポットに変身しています。若い女性の方も友達と連れ立って聴きに来ています。
心配しないで。メニューも美味しい!安い!もちろんお酒も(^_-)-☆。
デートにもピッタリです。
ホームページはコチラです。
ただ,じじいは過去を懐かしむものです。
あの薄暗い千ベロ飲み屋の奥からのメロディーを。